GT-Rを失ったスカイラインの現在地~V37スカイラインの試乗を終えて~

ここ2回に渡って、それぞれV37スカイラインの試乗レポートをお届けしてきました。
(ダウンサイジングターボはこちら、ハイブリッドはこちら

二日にわたってNISSANに通い詰めて、それぞれのモデルを試乗したことになります。

それにしても、最新のV37型では遂にハイブリッドシステムを搭載したスカイライン。
1.8tに及ぶ巨大な重量と、豊満な肉付きに満ちたボディラインには、完全にプレミアムセダンとしての路線を歩んでいますね。

今回は、V37の試乗を終えての私のスカイラインに対する想い、そしてV型スカイラインがどこに向かっているのかについて、まとめてみました。

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僕らはみんな、そのエンブレムに恋い焦がれた

スカイラインGT-R_R32リア
出典元:wikipediaより

スカイラインというのは特別な車です。

……すごい車なのかと言われると、微妙なラインです。
革命的な販売台数を誇ったわけでもないし、プリウスだのミライだののように歴史を作る新技術を搭載しているわけでもありません。
同クラスの販売実績で言えば、常にマークⅡ(X)の後塵を扼しているだけに過ぎないし、搭載された数々のスポーツドライビングシステムも、創世を謳われるような技術革命ではありえません。

ただ、他の車と決定的に異なるのが、モータースポーツにおける輝かしい実績です。

そして、そこから産み出されたGT-Rというブランドへの崇拝と尊敬の念が、今日のスカイラインブランドを支えているといっても過言ではないでしょう。

様々な車が、「R」の赤いエンブレムを掲げて走っています。
そんな中でも、より特別な意味を持った「R」。
それこそが、スカイラインのハイエンドモデルにして国産スポーツカーの頂点、スカイラインGT-Rだったのです。

 過去から、現在へ。憧れから、現実へ。

R34スカイライン
出典元:NISSANホームページより

そう、考えてみればスカイラインという車が象徴的であったのは、その上にスカイラインGT-Rという伝説が存在していたためです。
それ故に、スカイラインは単なるマークⅡの競合車種の一つではなく、キングオブグランドツーリングとしての冠を、誇らしげに戴いていたのです。

時が流れ、伝説は失われました。

GT-Rはスポーツカーではなく、スーパーカーとしての歩みを始めるため、スカイラインとの決別を余儀なくされました。
偉大なるGT-Rとの別れを経て、スカイラインは必然的に、自らの手で新しい価値を生み出すことを求められます。

それが、Vシリーズ。
V型6気筒エンジンを主力とした、現在も続く新世代スカイラインたちです。

とは言っても、VシリーズのスカイラインがNISSANラインナップの中で与えられた役割は、それほど変わっていませんでした。

少なくとも国内市場において、スカイラインの役割は明確でした。
NISSAN高級セダンであるフーガと、量産車種であるシルフィの間を埋めるセダンとして、トヨタの誇る「クラウン」「マークX」「カローラ」という鉄壁の牙城に挑む。
V型6気筒エンジンと、ワンランク上の上質な質感、そしてスポーティセダンとしての価値を前面に押し出して、同じくFRセダンとしての価値がフォーカスされるマークXと渡り合うのは、GT-Rの名を頂に仰いでいた頃の流れとそれほど変わるものではありません。

ただし、方向性がシフトしたのは事実でしょう。

GT-Rという最強の車を生み出すための土台、という前提を失ったスカイラインは、より「プレミアムセダン」としての方向性を強めていきます。
そしてその方向性は、キングオブグランドツーリングの陰影を残す我々ファンとの間に、乖離となって横たわってしまいました。

それでは、V型シリーズのスカイラインをおさらいしてみましょう。

V35スカイライン

V35スカイライン
出展元:wikipediaより

別名、マーチのセダン。

先鋭的な曲線美を備えた美しい車なのですが、あまりにも先代R34とのイメージに開きが……。
攻撃性とかスポーツ性というものを近所のざす川に捨ててきちゃいました、アクを落としてキレイになったでしょテヘッ♪……みたいな、そんなデザインw

ただRシリーズのスカイラインとしての固定観念を振り切り、大幅なプラットフォームの刷新に踏み切ることができたという意味では、スカイラインの歴史に名を残す一台ではあります。

そもそも論として、海外ではインフィニティブランドとして展開されたセダン。
国内でこそスカイラインの名は冠されたものの、全く別物なのですよね、やっぱ。

V36スカイライン

V36スカイライン
出典元:NISSANホームページより

アグレッシブさ、攻撃性という、ファンがスカイラインに求めていたものを取り戻した一台。

復活したツインテールランプにしてもそうですが、NISSANが我々ファンに妥協してくれたってことでしょう。
全体的な形はV35のキープコンセプトですが、デザインにおけるキレ味の鋭さは別格。
スカイラインの名を冠するに相応しいデザインが戻ってきました。

全体的に大きな飛躍や技術革新はなく、V35のキープコンセプトのままで熟成された一台。
新世代スカイラインこれにあり、を高らかに宣言したモデルです。

V37スカイライン

V37スカイライン

リアからツインテールランプが失われた以外のデザイン面は、まあともかく。

物議を醸し出したのが、ハイブリッド&ドイツ製ターボエンジンというパワートレイン問題。
私も当初は懐疑的で、散々批判してやる気満々だったりしたんですが。

試乗した結論から言えば、まあ別にハイブリッドは悪くない。
ただ一方で、その圧倒的なお値段に見合うだけのパフォーマンスかと言われれば……難しいところ。
加速性能はさすがモーター!という感じで、ハイブリッド・スポーツ・セダンの名に恥じるところはありませんが、最低グレードで450万という価格は、もはやトヨタで言えばマークXなどではなく、クラウンさえ楽勝で買えてしまいます(´д`A;;

ちなみにドイツ製ターボは所詮廉価版なので、あまりオススメはできません。
そっちでも350万もするし、それこそマークXで十分です。

「スカイライン」の名は、日本でセダンを売るための道具に過ぎない

V37スカイラインの発売時、NISSANでは世界統一名称として発売すること、つまりスカイラインの名前をなくすことが検討されたそうです。
ただ、統一名称とするのは日本市場を捨てている行為だと捉えられかねないとして、スカイラインの名前で売り出すことが決まったとか。

まあ、つまりはそういうことなのでしょう。

今のNISSANは、決してスカイラインを作っているわけではないのです。

それがV35の頃からなのか、あるいはより最近なのかはわかりません。
ですがNISSANにとって、というより、恐らく全世界的に見て、スカイラインという車種は既に消滅しているのです。
ただ、日本市場で見ればそのネーミングは極めて有用であり、まだまだ利用しがいがある、ということなのでしょう。

GT-Rを失った、スカイラインはどうなったのか。

その結論は、「死んだ」が正解でしょう。

その名を冠したセダンモデルは確かに新型が発表されていますし、それが別段悪い車というわけでもない……むしろ世界で通用する上質なプレミアムセダンとして確実に進化しているのですが、やはりもはや「スカイライン」ではありえません。
今販売しているスカイラインは「スカイライン」ではなく、あくまで「インフィニティQ50」なのです。

「インフィニティQ50」を日本で売るのに最適な名前が、「スカイライン」だった。
要はそれだけでしょう。

問題なのは止まらない高級志向。スポーツ目的で買える車では最早ない

V37スカイライン リア

V37スカイラインの項でも書きましたが、価格帯の変更のもたらした影響は多大です。
V35のプラットフォーム&デザインの大幅変更以上に、V37の価格帯の変更はスカイライン史に影響をもたらすでしょう。
もはやV37を、旧来のスカイラインと同様にカテゴライズすることは不可能です。

V37というスカイラインそのものを否定はしません。
ですがこの車の最大の罪は、スポーツセダンとしての価格帯を遂に飛び出し、高級セダンとしてのカテゴリにジャンプアップしてしまったことでしょう。

その価格帯と、高級志向の路線が、果たしてスカイラインを望むユーザの眼鏡にかなうかどうかは、数年後の販売実績のみが唯一証明できることですが……。
もはやスカイラインは、スポーツドライビングを楽しむための車でなくなってしまった……それだけの動機で買える車ではなくなってしまいました。
この車の現在地がどこにあるのか……正直判然としませんが、現在のスカイラインはもはやマークXの対抗馬などではないことは確実です。

プレミアムスポーツセダン、それがスカイラインの目指している場所なのかもしれません。
ただ、その目指す場所は、我々のようなパンピーからすれば遙か遠い場所なのです……。

そもそも最近のNISSANは日本市場をやっぱり捨ててる感がありまくります。。。

叶うのなら、このスカイラインはもう「インフィニティQ50」として売ってしまって、NISSANには日本向けに一台、もっとダウンサイズしたスポーツセダンを作って欲しいですね。
HONDAはグレイス、スバルはレヴォーク、日本のユーザのために提案された車は、各社から続々と販売されているのです。
ここにNISSANも、是非加わって欲しいと妄想する次第です。

まあ、Q50として売った場合の販売実績は、確かにスカイラインの名前で売るのに劣るでしょうけど……。

以上、スカイラインについて、私の中に溢れてくる様々な想いをまとめてみました。

なんだか想いが色々溢れすぎて、難しいな…(^^;
長文、失礼しました。おつきあい下さって、ありがとうございました。

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